【基本知識】スコヴィル値(SHU)とは?辛さを表す数字の正体

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【基本知識】スコヴィル値(SHU)とは?辛さを表す数字の正体
【基本知識】スコヴィル値(SHU)とは?辛さを表す数字の正体
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唐辛子の辛さを表す代表的な指標が、スコヴィル値です。英語ではScoville Heat Unitsと表記し、その頭文字を取ってSHUと呼びます。

この数値は、唐辛子に含まれる辛味成分の濃度を基準に算出されます。基本的には、数値が高いほど辛味が強く、低いほどマイルドです。

ただし、SHUは温度を表す摂氏や物質の重さを表すグラムとは異なります。人間が感じる辛さを化学成分の量から推定するための尺度であり、国際単位系(SI)における基本単位ではありません。

SHUの数字は何を意味するのか

辛さの単位
【画像】辛 さ の 単位 関連ショット

もともとのスコヴィル値は、唐辛子の抽出液を何倍に薄めれば辛さを感じなくなるか、という希釈倍率を基準にしていました。

例えば、2,000SHUなら、従来の試験では辛味を感じなくなるまでに約2,000倍の希釈が必要だったことを意味します。

現在のHPLC法では、カプサイシノイドの濃度を分析し、所定の換算係数を使ってSHUに換算します。そのため、現在の2,000SHUは、必ずしも人間が実際に2,000回薄めて味見した結果ではありません。

また、SHUが10倍になったからといって、口の中で感じる辛さが必ず10倍になるわけでもありません。味覚や痛覚には個人差があり、食品の温度、油分、酸味、食べる量なども体感に影響します。

【辛さの仕組み】カプサイシンとカプサイシノイドは何が違う?

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【写真】辛 さ の 単位 近影・注目カット

唐辛子を食べたときに感じる刺激は、単純な味覚だけで説明できません。その中心にあるのが、カプサイシンと呼ばれる化学物質です。

カプサイシンは本当に口の中を熱くするのか

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【資料】辛 さ の 単位 報道・メディア記録

カプサイシンは、唐辛子に含まれる辛味成分の代表格です。口の中に入ると、熱や刺激に反応する受容体TRPV1に作用します。

TRPV1は、通常は高温などの刺激を感知する受容体です。カプサイシンが結合するとイオンチャネルが活性化し、神経細胞に信号が伝わります。その情報を脳が熱さや痛みとして認識するため、実際に口の中の温度が上昇していなくても、焼けるような感覚が生まれます。

つまり、唐辛子の辛さは、物理的な高温ではなく、化学物質によって引き起こされる感覚なのです。

この仕組みは、カプサイシンが皮膚や目に触れた場合にも関係します。口以外の場所でも刺激を感じるのは、同じような感覚受容の仕組みが働くためです。

カプサイシノイドとは?

カプサイシノイドとは、唐辛子の辛味を生み出す化合物群の総称です。カプサイシンだけを指す言葉ではありません。

代表的な成分には、次のものがあります。

- カプサイシン: 唐辛子の主要な辛味成分。
- ジヒドロカプサイシン: カプサイシンと並ぶ主要な辛味成分。
- ノルジヒドロカプサイシン: カプサイシノイドの一種で、辛味の算出にも関係する。
- ホモカプサイシン: 唐辛子に含まれる比較的少量の辛味成分。

HPLC法では、これらの成分を分離して、それぞれの含有量を調べることができます。カプサイシンだけでなく、複数のカプサイシノイドを考慮することで、唐辛子全体の辛味をより適切に評価できます。

【歴史】ウィルバー・スコヴィルが1912年に考案した測定方法

スコヴィル値の名前の由来となった人物は、アメリカの薬理学者ウィルバー・スコヴィル(Wilbur Scoville)です。

彼は1912年、唐辛子の辛さを数値化するための官能試験を考案しました。原著論文は「Note on Capsicums」という題名で、Journal of the American Pharmaceutical Associationに掲載されています。

当時の研究では、唐辛子の辛味を定量的に比較することが課題でした。そこでスコヴィルが採用したのが、人間の味覚を使った希釈試験です。

1912年のスコヴィル官能試験の流れ

この方法は、後にスコヴィル官能試験(Scoville Organoleptic Test)と呼ばれるようになりました。



唐辛子をアルコールに抽出する

粉砕した唐辛子からアルコールを使って辛味成分を取り出す。


抽出液を甘味のある水に加える

砂糖水などを使い、辛味を薄めた試料を準備する。


複数の試験者が味を確認する

訓練された5人の試験者が辛味を判定する。


希釈を繰り返す

辛味が感じられなくなるまで段階的に薄めていく。


希釈倍率を数値にする

最終的な希釈倍率を基準に辛さを表す。

この仕組みでは、辛味を感じなくなるまでに必要な希釈倍率が高いほど、唐辛子の辛さも強いと判断されます。

なぜ従来の方法は使われなくなったのか

人間の舌を使う方法には、避けられない問題がありました。

まず、辛さの感じ方には個人差があります。普段から激辛料理を食べている人と、辛い食べ物が苦手な人では、同じ試料でも感じ方が異なります。

さらに、何度も辛味を経験すると感覚が鈍くなることがあります。試験者の体調や味覚の状態によっても判定が変わるため、同じ唐辛子を測定しても結果にばらつきが生じます。

こうした問題を解決するため、化学分析によって辛味成分を直接測定する技術が発展しました。現在では、HPLC法が食品の辛味評価に広く利用されています。

【辛さの単位一覧】ハラペーニョ・タバスコ・激辛唐辛子を比較

スコヴィル値を理解するうえで役立つのが、身近な唐辛子や調味料との比較です。

ここでは、大学の農業普及機関であるフロリダ大学UF/IFASの公開データ、タバスコ公式製品情報、ギネス世界記録などを参考に、代表的な食品を辛さの目安で整理します。

唐辛子・辛味調味料のスコヴィル値一覧

唐辛子・食品スコヴィル値(SHU)特徴・比較ピーマン0辛味成分を含まない代表例ポブラノ1,000〜2,000比較的マイルドハラペーニョ2,000〜8,000一般的なメキシコ料理で使用タバスコ・オリジナルソース2,500〜5,000おなじみの辛味調味料セラーノ10,000〜25,000ハラペーニョより辛いカイエンペッパー25,000〜50,000乾燥・粉末でも使用タバスコペッパー30,000〜50,000ソースとは別の唐辛子品種タイペッパー50,000〜100,000東南アジア料理で使用ハバネロ100,000〜350,000強烈な辛さと独特の香りブート・ジョロキア約855,000〜1,041,427ゴーストペッパーとも呼ばれるキャロライナ・リーパー平均約1,640,000過去の世界記録保持品種ペッパーX平均2,693,0002023年認定の世界記録保持品種

出典:フロリダ大学UF/IFAS、NIST、TABASCO公式情報、ギネス世界記録。唐辛子の数値は品種や栽培条件、測定条件によって変動する。ペッパーXとキャロライナ・リーパーは平均値。

ハラペーニョとタバスコはどちらが辛い?

比較するときに注意したいのが、タバスコという名前の使われ方です。

タバスコには、唐辛子の品種であるタバスコペッパーと、マキルヘニー社が販売するタバスコブランドのオリジナルソースという2つの意味があります。

タバスコペッパー自体は約30,000〜50,000SHUですが、オリジナルソースの公式表示は2,500〜5,000SHUです。ソースには唐辛子以外に酢や塩も使用されるため、唐辛子そのものとは数値が異なります。

一方、ハラペーニョは約2,000〜8,000SHUです。したがって、タバスコソースとハラペーニョは辛さの範囲が重なっており、どちらが必ず辛いとは決められません。

商品名と原料品種を混同すると、辛さの比較を誤る原因になります。

唐辛子の辛さランキングで注目されるペッパーX

2026年11月現在、ギネス世界記録における最も辛い唐辛子の記録保持品種はペッパーX(Pepper X)です。

2023年10月16日、ギネス世界記録はペッパーXを平均2,693,000SHUとして世界一辛い唐辛子に認定しました。

測定は米国サウスカロライナ州のウィンスロップ大学が担当し、4年間にわたって採取された試料を検査した結果が平均値として採用されています。

それまで記録を保持していたキャロライナ・リーパーの平均値は約1,640,000SHU。ペッパーXはその約1.6倍に達します。

なお、ランキングを見る際には、単一の最高測定値と複数の試料による平均値を区別する必要があります。品種の代表的な辛さを比較するなら、平均値や測定条件が明記されたデータのほうが参考になります。

【測定方法】HPLC法でスコヴィル値を調べる仕組み

現在、食品の辛味成分を科学的に分析する方法として利用されているのが、HPLC法です。

HPLCはHigh Performance Liquid Chromatographyの略称で、日本語では高速液体クロマトグラフィーと呼ばれます。

液体の中に含まれる複数の化学物質を分離し、それぞれの成分を識別して濃度を測定する分析技術です。

HPLC法による辛さの測定手順

HPLC法では、唐辛子を人間が味見するのではなく、機器を使ってカプサイシノイドの含有量を調べます。



試料の準備

唐辛子やソースなどの試料から、溶媒を使って辛味成分を抽出する。


不純物の除去

抽出液をろ過し、分析に適した状態に整える。


HPLC装置に注入

液体試料を高圧でカラムに通し、成分ごとに分離する。


成分の識別・定量

検出器で得られた信号を標準物質と比較し、カプサイシンなどの濃度を算出する。


SHUへの換算

測定されたカプサイシノイドの濃度に、それぞれの換算係数を適用して辛さを求める。

University of Guamが2021年に公開した技術資料では、カプサイシンとジヒドロカプサイシンをHPLCで分離し、検出する実例が紹介されています。

同資料では、抽出した試料をC18カラムに通し、紫外線検出器を用いて280nm付近で成分を分析しています。得られたクロマトグラムでは、カプサイシンとジヒドロカプサイシンがそれぞれ別のピークとして確認できます。

このように、HPLC法は辛さそのものを直接測定するというより、辛味を生み出す化学成分を分離・定量し、その結果から辛さを算出する方法です。

純粋なカプサイシンは約1,600万SHU

HPLC法の仕組みを理解するうえで覚えておきたい数字が、純粋なカプサイシンの辛さです。

従来の換算基準では、純粋なカプサイシンは約16,000,000SHU(1,600万SHU)とされています。

カプサイシンの濃度をppm(100万分の1)で表した場合、従来の代表的な換算では、カプサイシン1ppmに対して約16SHUを割り当てます。

例えば、乾燥試料1gにカプサイシンが1,000µg含まれていれば、1,000ppmに相当し、従来の換算係数では約16,000SHUになります。

ただし、実際の標準分析ではジヒドロカプサイシンなどの成分も考慮します。また、換算係数は分析規格の改訂によって見直されることがあります。

スコヴィル官能試験とHPLC法の違い

2つの測定方法は、同じSHUという表記を使っていても、測定の基準が異なります。

- スコヴィル官能試験: 人間が実際に感じる辛味を基準に希釈倍率を決める。
- HPLC法: 化学分析でカプサイシノイドの濃度を求め、計算によってSHUに換算する。

官能試験は人間の感覚を直接反映できる一方、個人差や慣れによる影響を受けます。HPLC法は化学成分を客観的に数値化でき、同じ条件で測定すれば再現性を高めやすいという利点があります。

なお、HPLC法の基礎となる辛味測定の研究は1980年にも報告されています。James E. WoodburyによるJournal of the Association of Official Analytical Chemists掲載論文では、カプサイシノイドを抽出してHPLCで分離する方法が示され、官能試験との相関係数は0.98と報告されました。

この研究は、人間の味覚を基準にしていた辛さの評価を、化学分析によって再現性の高い数値に置き換えていく流れを示すものです。

【2026年最新】ASTAが改訂したSHU測定基準と今後の変化

2026年の辛さ測定を理解するうえで見逃せないのが、米国香辛料貿易協会(ASTA:American Spice Trade Association)の分析方法の改訂です。

ASTAは2026年4月27日、唐辛子や唐辛子抽出物の辛味をHPLCで測定する分析方法「ASTA Method 21.3」の2026年版を公開しました。

今回の改訂では、カプサイシンの応答係数(response factor)が修正されています。つまり、同じような分析結果でも、SHUに換算するときの計算基準を見直したということです。

今回の改訂で何が変わる?

ASTAの分析方法小委員会が2026年の年次会合で示した説明によると、新しい補正によって、算出される総SHUは従来より約5.6〜5.78%低くなると見込まれています。

これは、唐辛子の成分そのものが減ったわけでも、実際に食べたときの辛さが突然弱くなったわけでもありません。測定値を計算する際の基準が調整されたことによる変化です。

また、新しいASTA Method 21.3は、2026年に公開されたからといって直ちに業界全体へ一斉適用されるわけではありません。ASTAは5年間の段階的な移行期間を設け、正式な実施時期を2031年としています。

2026年時点で知っておきたいポイント



従来のSHU表示が直ちに無効になるわけではない

既存商品の表示や過去の測定値が、2026年の改訂によって一律に変更されるわけではない。


今後の分析結果には測定規格の確認が必要

旧基準と新基準では換算結果が異なる可能性がある。


ランキングの数字だけで優劣を判断しない

測定時期、分析方法、平均値か単一試料の値かを確認する。

この改訂は、SHUが単なる激辛自慢の数字ではなく、食品の品質管理や研究に使われる分析指標であることを示しています。

【よくある質問】辛さの単位に関するFAQ

Q1:辛さの単位はスコヴィル値以外にもありますか?

A1:あります。辛味の評価には、カプサイシノイドの濃度をppmで示す方法や、人間の味覚を使う官能評価などがあります。ただし、唐辛子の辛さを一般向けに比較する場合は、スコヴィル値(SHU)が広く使われています。

Q2:ハラペーニョとタバスコはどちらが辛いですか?

A2:ハラペーニョは約2,000〜8,000SHU、タバスコのオリジナルソースは約2,500〜5,000SHUです。数値の範囲が重なるため、単純にどちらが辛いとは決められません。なお、タバスコペッパーという唐辛子品種は約30,000〜50,000SHUです。

Q3:純粋なカプサイシンは何SHUですか?

A3:従来の代表的な換算基準では約1,600万SHUです。唐辛子に含まれるカプサイシノイドの濃度を比較する際の参考値になります。

Q4:現在のスコヴィル値は人間が味見して決めているのですか?

A4:食品の分析ではHPLC法が広く利用されています。カプサイシンやジヒドロカプサイシンなどの含有量を機器で測定し、換算係数を使ってSHUを算出します。

Q5:2026年にスコヴィル値の基準は変わったのですか?

A5:ASTAが2026年版の分析方法を公開し、カプサイシンの応答係数を修正しました。算出値は従来より約5.6〜5.78%低くなる見込みですが、正式な業界全体への導入は2031年までの段階的な移行が予定されています。

まとめ:【プロの結論】スコヴィル値は測定方法まで確認して比較する

唐辛子の辛さを表すスコヴィル値(SHU)は、1912年にウィルバー・スコヴィルが考案した官能試験から始まりました。

人間の舌を使って辛味が消えるまで希釈する方法は、当時として画期的でしたが、試験者の味覚や辛さへの耐性によって結果が変わるという課題がありました。

その後、HPLC法の発展によって、カプサイシンやジヒドロカプサイシンなどの成分を化学的に分離・定量できるようになり、辛さをより客観的に比較できるようになりました。

2026年にはASTAによる分析基準の改訂も発表され、2031年に向けて新しい計算方法への移行が進められています。

辛さの数字を正しく理解するために、押さえておきたい判断基準は次の3つです。

1. 数値の意味を理解する: SHUはカプサイシノイドの含有量を基準に算出する辛さの指標である。
2. 対象を区別する: 唐辛子そのものと、酢や塩などを加えたソースでは数値が異なる。
3. 測定条件を確認する: HPLC法か官能試験か、従来基準か改訂基準か、平均値かどうかを確認する。

特に、激辛唐辛子のランキングや食品パッケージに表示されたSHUを比較するときは、数字の大きさだけでなく、その数字がどのような測定方法から生まれたのかにも目を向ける必要があります。

スコヴィル値の本質は、単に辛さを競うための数字ではありません。植物に含まれる化学成分を分析し、人間が感じる刺激を科学的に比較するための指標なのです。 (出典: 辛 さ の 単位(Yahoo!ニュース))