アロマンティックとは?特徴・アセクシュアルとの違いと2026年最新事情を徹底解説

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アロマンティックとは?特徴・アセクシュアルとの違いと2026年最新事情を徹底解説
アロマンティックとは?特徴・アセクシュアルとの違いと2026年最新事情を徹底解説
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アロマンティックとは、他者に恋愛的に惹かれない、または惹かれる頻度や程度が少ない恋愛的指向の一つです。「恋愛感情を持たない人」と説明されることもありますが、実際には恋愛への感じ方や人との関係の築き方に幅があります。性的な魅力を感じるかどうか、性欲があるかどうか、結婚やパートナーシップを望むかどうかも、人によって異なります。

2026年には、電通グループの「LGBTQ+調査2026」でアロマンティックを自認する人の割合が公表され、国内での認知状況も明らかになりました。アセクシュアルとの違い、グレイロマンティックやデミロマンティックとの関係、アロマンティック診断の考え方、恋愛・友情・結婚の可能性まで、最新の調査や学術研究を踏まえて解説します。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

  • 定義:アロマンティックは、他者への恋愛的な惹かれがない、または少ない恋愛的指向。
  • 違い:アセクシュアルは性的な惹かれに関する指向であり、アロマンティックとは別の概念。両方に当てはまる人もいる。
  • 多様性:グレイロマンティックやデミロマンティックなど、恋愛的な惹かれ方にはさまざまな形がある。
  • 恋愛・結婚:アロマンティックでも恋愛関係を築いたり、結婚したりすることは可能。
  • 2026年最新情報:電通の調査では、20~59歳の回答者におけるアロマンティックの割合は1.58%だった。

【基本知識】アロマンティックとは?意味と特徴をわかりやすく解説

アロマンティックとは
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アロマンティックの定義と恋愛的指向とは

アロマンティックとは
【写真】ア ロマンティック と は 近影・注目カット

アロマンティック(Aromantic)は、他者に対して恋愛的な魅力をほとんど、またはまったく感じない人が用いるアイデンティティの名称です。英語では「Aromantic」、略称では「Aro」と表記されます。

ここで重要になるのが「恋愛的指向(Romantic Orientation)」という考え方です。これは、どのような相手に恋愛的に惹かれるのか、あるいは恋愛的な惹かれを経験しないのかを表す概念です。

一般的には、好きな人ができると恋人になりたい、特別な恋愛関係を築きたいと感じる人が多い一方、アロマンティックの人は、そのような恋愛的な惹かれを経験しない、または非常に少ない場合があります。

ただし、アロマンティックは単純に「恋愛が嫌い」という意味ではありません。恋愛に興味がない人もいれば、恋愛作品を楽しむ人、恋愛的な行動に抵抗がない人、恋愛関係を望む人もいます。

Aromantic-spectrum Union for Recognition, Education, and Advocacy(AUREA)は、アロマンティックを恋愛的な惹かれの少なさだけでなく、社会で一般的とされる恋愛観との関係も含めて説明しています。

アロマンティックに見られる特徴

アロマンティックとは
【資料】ア ロマンティック と は 報道・メディア記録

アロマンティックの経験は一人ひとり異なりますが、自己理解の参考になる特徴として、次のようなものがあります。

  • これまで誰かに恋愛感情を抱いた経験がほとんどない。
  • 友人として好きな人はいても、恋人になりたいとは感じない。
  • 周囲が恋愛や片思いの話題で盛り上がる理由を実感として理解しにくい。
  • 恋愛をすることよりも、友情や家族との関係を大切にしたい。
  • 恋愛関係になることを当然の将来設計として考えていない。
  • 恋愛的な好意を向けられると、うれしさより戸惑いや負担を感じる場合がある。
  • 誰かを大切に思っていても、それが恋愛感情なのか友情なのか区別しにくい。
  • 恋愛感情を抱くことがあっても、その頻度が非常に少ない。

これらはアロマンティックの人全員に当てはまる特徴ではありません。例えば、恋愛経験がないからといって、必ずしもアロマンティックとは限りません。また、過去に恋愛感情を抱いた経験があっても、現在の自分をアロマンティックと認識する人もいます。

恋愛感情と友情、憧れはどう違う?

自分の気持ちを理解する際に難しいのが、「好き」という言葉の意味です。日本語では、恋愛感情、友情、尊敬、憧れ、外見への魅力などが、同じ「好き」という表現で語られることがあります。

例えば、特定の人と長時間一緒にいたい、何でも相談できる関係になりたい、外見が魅力的だと感じるといった気持ちは、必ずしも恋愛感情を意味しません。

人への惹かれ方には、恋愛的な惹かれだけでなく、性的な惹かれ、友情としての惹かれ、外見的な魅力への惹かれ、身体的な親密さを求める気持ちなど、複数の側面があります。

こうした違いを理解すると、恋愛感情が少ないことと、人を大切に思う気持ちが少ないことは別問題だとわかります。

【違いを比較】アロマンティックとアセクシュアル、性的欲求の関係

アロマンティックとアセクシュアルの違い

アロマンティックとアセクシュアルは、混同されやすい用語ですが、注目している感情の種類が異なります。

アロマンティックは恋愛的な惹かれ、アセクシュアルは性的な惹かれに関する概念です。

アセクシュアル(Asexual)は、他者に性的な魅力をほとんど、またはまったく感じない人が用いるアイデンティティです。日本語では「無性愛」と表現される場合もあります。

一方、アロマンティックの人でも性的な魅力を感じることがあります。つまり、恋愛的な関係を望まなくても、性的な関心を持つことはあり得るのです。

反対に、性的な惹かれはあっても、恋愛感情を抱くことが少ない人もいます。

アロマンティックとアセクシュアルの組み合わせ

恋愛的な指向と性的な指向を別々に考えると、次のような組み合わせが存在します。

  • アロマンティック・アセクシュアル(AroAce):恋愛的にも性的にも他者に惹かれない、またはその経験が非常に少ない人。
  • アロマンティック・セクシュアル:恋愛的な惹かれはほとんどない一方、性的な惹かれを経験する人。
  • ロマンティック・アセクシュアル:恋愛感情を抱くことはあるものの、性的な惹かれがほとんどない人。

このように、恋愛と性のあり方は必ずしも一致しません。

スプリット・アトラクション・モデルとは

この違いを整理するために使われる考え方が「スプリット・アトラクション・モデル(Split Attraction Model/SAM)」です。

これは、恋愛的な惹かれと性的な惹かれを別々の軸として捉えるモデルです。アセクシュアルやアロマンティックのコミュニティで活用されており、自分の感覚を細かく説明する際に役立ちます。

例えば、ある人は恋愛的には異性に惹かれるものの性的には誰にも惹かれないかもしれません。別の人は性的には同性に惹かれる一方、恋愛的な惹かれをほとんど経験しない場合もあります。

ただし、このモデルがすべての人の感覚を説明できるわけではありません。恋愛と性的な魅力を明確に分けず、一つの指向として自分を認識する人もいます。

アロマンティックでも性的欲求や性欲はある?

アロマンティックと性的欲求の関係を考える際には、次の3つを区別する必要があります。

  • 性的な惹かれ:特定の人に対して性的な関心や魅力を感じること。
  • 性欲・リビドー:性的な刺激や活動を求める身体的・心理的な欲求。
  • 性行動:実際に性的な行為をするかどうか。

これらは必ずしも連動しません。アロマンティックであることは、性欲がないことや、性的な行為をしないことを意味しません。

例えば、恋愛感情を持たないものの性的な魅力を感じる人もいます。性的な関心はあっても、恋愛関係を築くことには興味がないというケースもあります。

また、アセクシュアルについても、性的な惹かれがないことと、性欲がまったくないことは同義ではありません。性的欲求があっても、特定の他者に性的な魅力を感じない人はいます。

国立社会保障・人口問題研究所の学術誌『人口問題研究』に掲載された2021年の研究でも、性的な惹かれ、性欲、性行動、恋愛感情はそれぞれ区別して考える必要があると整理されています。

したがって、「性欲があるからアロマンティックではない」「性的な行為をしたことがあるからアセクシュアルではない」といった判断は適切ではありません。

【スペクトラムを理解】グレイロマンティック・デミロマンティックなどの関連用語

アロマンティック・スペクトラムとは

アロマンティック・スペクトラム(Aromantic Spectrum/Aro Spectrum)とは、恋愛的な惹かれがない、少ない、特定の条件下でのみ生じるなど、一般的な恋愛的指向とは異なる多様な経験を包括する考え方です。

アロマンティックと、それに近い恋愛的指向を一つの連続した範囲として捉えるため、Aroスペクトラムとも呼ばれます。

恋愛感情が完全にない人だけを対象とする概念ではありません。恋愛的な惹かれがまれに生じる人や、特定の状況でのみ感じる人も含まれます。

グレイロマンティックとは

グレイロマンティック(Grayromantic/Greyromantic)は、恋愛的な惹かれを感じる頻度が非常に少ない、程度が弱い、または特定の状況でのみ経験する人が用いる言葉です。

例えば、長い人生の中で一度だけ恋愛感情を抱いたことがある人や、通常は恋愛的な惹かれを感じないものの、ごく限られた状況では感じる人などが該当する場合があります。

恋愛感情が完全に存在しないわけではないものの、一般的な恋愛の経験とは異なると感じる人にとって、自分のあり方を表現する選択肢になります。

デミロマンティックとは

デミロマンティック(Demiromantic)は、相手との間に強い感情的なつながりや信頼関係が形成された後に、初めて恋愛的な惹かれを感じる人が用いる言葉です。

初対面の相手に一目惚れしたり、外見や第一印象から恋愛感情を抱いたりすることは少なく、相手との関係が深まることが恋愛的な惹かれに関係します。

ただし、単純に慎重な性格であることや、時間をかけて交際相手を選ぶことと、デミロマンティックは同じではありません。重要なのは、恋愛的な惹かれが生じる条件そのものです。

関連用語の関係性を比較

それぞれの用語は、恋愛的な惹かれの有無や発生する条件、性的な惹かれとの組み合わせによって整理できます。

用語意味・特徴他の概念との関係
アロマンティック恋愛的な惹かれがない、または非常に少ないAroスペクトラムの中心的な概念
アセクシュアル性的な惹かれがない、または非常に少ない恋愛的指向とは別の軸
AroAce恋愛的にも性的にも惹かれがない、または少ないアロマンティックとアセクシュアルの組み合わせ
グレイロマンティック恋愛的な惹かれがまれ、弱い、または不規則アロマンティック・スペクトラムに含まれる
デミロマンティック強い感情的なつながりができた後に恋愛的に惹かれるアロマンティック・スペクトラムに含まれる
ロマンティック・アセクシュアル恋愛的には惹かれるが、性的な惹かれはほとんどない恋愛的指向と性的指向が異なる組み合わせ
アロマンティック・セクシュアル恋愛的な惹かれは少ないが、性的な惹かれはある恋愛的指向と性的指向が異なる組み合わせ

この表は代表的な用語を整理したもので、すべての人が必ず一つのカテゴリーに当てはまるわけではありません。複数の表現を使う人や、特定のラベルを使用しない人もいます。

Aro/Ace(アロ・エース)とは

Aro/Aceは、アロマンティック(Aro)とアセクシュアル(Ace)の両方、または両者のスペクトラムに関係する人々を表現する際に使われる言葉です。

両方の概念を包括するコミュニティや活動、情報発信などで用いられています。また、A-specという言葉でアロマンティック・スペクトラムとアセクシュアル・スペクトラムをまとめて表現することもあります。

日本でも、Aro/Aceの当事者や、自分が該当するかもしれないと感じている人に向けた交流活動が行われています。早稲田大学ジェンダー・セクシュアリティセンター(GSセンター)は2024年、AロマンティックやAセクシュアル、クワロマンティックに関する交流イベントを開催しました。

こうした活動は、身近に同じような経験を持つ人がいないと感じている人にとって、情報交換や自己理解の機会になります。

【自己理解の方法】アロマンティック診断はできる?セルフチェックの考え方

アロマンティック診断は医学的な検査ではない

「自分はアロマンティックなのだろうか」と疑問を持ち、インターネット上のアロマンティック診断やチェックリストを調べる人もいます。

最初に理解しておきたいのは、アロマンティックは病気や精神疾患の診断名ではなく、自分の恋愛的指向や経験を説明するためのアイデンティティだという点です。

医療機関で検査を受けたり、特定の質問に何個当てはまったかを数えたりして、アロマンティックかどうかを医学的に確定するものではありません。

オンライン診断は、自分の感覚を整理するきっかけにはなります。しかし、診断結果だけで自分の指向を決める必要はありません。

自分の恋愛的指向を考える5つの質問

自己理解を深めたい場合は、次の質問について考えてみる方法があります。

  • 質問1:これまで誰かに恋愛的な意味で惹かれた経験はあるか。それとも、友情や憧れとしての好意が中心だったか。
  • 質問2:恋人が欲しいと思う気持ちは、自分自身の希望なのか、それとも周囲の期待や社会的な常識から生じているのか。
  • 質問3:誰かと親しくなりたい気持ちはあるものの、恋愛関係になることは望んでいないのではないか。
  • 質問4:恋愛感情を抱くことがある場合、その頻度は少ないのか、特定の条件がそろったときだけなのか。
  • 質問5:アロマンティックやグレイロマンティックなどの言葉を知ったとき、自分の経験を説明できると感じるか。

すべての質問に明確な答えを出す必要はありません。わからない項目があっても、それ自体が自然なことです。

アロマンティックと一時的な恋愛への無関心は違う?

恋愛に興味がなくなる理由は一つではありません。仕事や勉強への集中、ストレス、生活環境の変化、過去の人間関係などによって、一時的に恋愛を考えなくなることもあります。

そのため、現在恋人が欲しくないという一点だけで、アロマンティックと判断することはできません。

一方、長期間にわたって恋愛的な惹かれをほとんど経験しておらず、その感覚が自分にとって自然だと感じている場合、アロマンティックという言葉が自己理解に役立つ可能性があります。

また、以前と比べて突然恋愛感情や性的欲求が大きく変化し、身体的な不調や強い苦痛も伴う場合には、セクシュアリティを否定するのではなく、必要に応じて医療専門家に相談することも選択肢です。

自分の指向を理解するために、恋愛経験を増やしたり、誰かと交際して確かめたりする必要はありません。

【恋愛・友情・結婚】アロマンティックでも恋愛できる?結婚やパートナーシップの実態

アロマンティックでも恋愛できるのか

アロマンティックでも恋愛関係を築くことは可能です。

アロマンティックは恋愛的な惹かれが少ない、またはないという指向を表す言葉であり、恋愛関係を持つことを禁止するものではありません。

例えば、恋愛感情をあまり経験しなくても、特定の人と恋人として生活したいと考える人がいます。また、パートナーからの恋愛的な好意を受け入れられる人や、恋愛的な行動の一部を楽しめる人もいます。

恋愛感情の有無と、恋愛関係を望むかどうかは、必ずしも一致しないのです。

アロマンティックと友情の関係

アロマンティックの人にとって、友情は重要な人間関係の一つになり得ます。

恋愛関係を人生の中心に置かなくても、友人との信頼関係、家族とのつながり、趣味を共有する仲間との関係などから、深い親密さを得ることができます。

特に関連する概念として「クィアプラトニック・リレーションシップ(QPR)」があります。

これは、一般的な友情の枠組みを超えるような、強い信頼やコミットメントを伴う非恋愛的なパートナーシップです。生活を共にしたり、将来の計画を共有したりする関係もあります。

ただし、QPRの形は当事者同士によって異なります。恋愛関係と同じような行動を含むこともあれば、従来の友情とは異なる独自の関係を築くこともあります。

大切なのは、恋愛関係だけを親密な関係の基準にしないことです。

アロマンティックでも結婚できる?

アロマンティックでも結婚することは可能です。

結婚は恋愛感情だけで成立するものではありません。生活上の協力、経済的な安定、家族としてのつながり、子育て、将来の介護など、さまざまな理由から結婚を望む人がいます。

例えば、次のような関係を希望するアロマンティックの人も考えられます。

  • 恋愛感情よりも信頼や友情を基盤とした結婚。
  • 生活を支え合うことを目的としたパートナーシップ。
  • 子育てや家庭生活を共同で担う関係。
  • 恋愛的な要素を含むものの、一般的な恋愛関係とは異なる結婚。

一方、結婚や交際を望まず、一人で暮らすことに満足している人もいます。

結婚したいかどうかは、アロマンティックという指向だけでは決まりません。

結婚や交際を考えるときに大切なこと

アロマンティックの人と恋愛的な惹かれを経験する人がパートナーになる場合、互いの感情や期待を率直に話し合うことが大切です。

例えば、恋愛的な言葉をどの程度使いたいか、身体的な接触をどう感じるか、性的な関係を希望するか、将来的に結婚や同居を考えているかなど、具体的な希望を確認する必要があります。

どちらか一方が相手の感覚に合わせ続けるのではなく、双方が無理なく過ごせる関係を考えることが重要です。

恋愛的な惹かれの強さが異なっていても、互いを尊重しながら関係を築くことはできます。

【2026年最新情報】アロマンティックの認知率・調査結果と社会的な課題

電通「LGBTQ+調査2026」で公表された割合

2026年の国内動向を把握するうえで注目されるのが、電通グループの国内事業を統括・支援するdentsu Japan内のdJ DEIオフィスが実施した「LGBTQ+調査2026」です。

同調査は、全国の20~59歳を対象に、2026年1月19日から1月27日まで実施されました。スクリーニング調査の対象者は46,658人です。

2026年5月26日に公表された調査結果では、アロマンティックを自認する人の割合は1.58%、アセクシュアルを自認する人の割合は1.52%でした。

また、「アロマンティック・アセクシュアル」という属性に関する言葉の認知率は10.7%でした。LGBTQ+という総称の認知率が76.7%だったことと比較すると、個別のセクシュアリティに関する認知には大きな差があります。

なお、アロマンティックとアセクシュアルは別々の指向であり、両方に該当する人もいます。そのため、両者の割合を単純に足し合わせることはできません。

さらに、この調査の対象は20~59歳であり、調査時点での自己申告に基づく結果です。すべての年齢層を含めた日本の人口全体における確定的な割合と同一視することはできません。

2020年のAro/Ace調査から見える当事者の多様性

国内の学術研究では、三宅大二郎氏と平森大規氏による2021年の論文「日本におけるアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性」が重要な資料となっています。

この研究は、2020年6月に実施された「Aro/Ace調査2020」の回答を分析したものです。有効回答数は1,685人でした。

調査対象は、アロマンティックやアセクシュアルのスペクトラムを自認する人、または自分が該当するかもしれないと考えている人です。

回答者のうち、アロマンティックを自認した人は48.0%でした。また、グレイロマンティックは7.7%、デミロマンティックは10.2%という結果が示されています。

ただし、これはAro/Aceに関心を持つ人を対象とした自主参加型のウェブ調査です。日本の一般人口における各指向の割合を示す数字ではありません。

この研究から読み取れる重要な点は、アロマンティックという一つの名称の中にも、異なる恋愛的指向や自己認識が存在することです。

2025年の入門書と2026年の研究動向

日本語でアロマンティックを理解するための資料として、松浦優氏の著書『アセクシュアル アロマンティック入門 性的惹かれや恋愛感情を持たない人たち』も挙げられます。

同書は集英社新書から2025年2月17日に発売され、Aro/Aceの歴史、実態調査、差別や悩み、結婚と親密性の関係などを扱っています。恋愛や性愛を当然視する社会の前提を考え直すための資料です。

さらに2026年には、アロマンティックやアセクシュアルの人々を取り巻く課題について、海外の学術研究も発表されています。

2026年6月30日にオンライン公開された『Health Education Journal』の研究「Asexual and aromantic inclusion in health education」では、医療・健康教育においてAro/Aceの視点が十分に扱われていない問題を検討しています。医療従事者の理解不足や、恋愛・性的な惹かれを誰もが当然持つという前提が、当事者への不適切な対応につながる可能性を指摘しています。

また、2026年7月15日にオンライン公開された『Journal of Sex Research』の研究「Perceptions of A-Spec Individuals: Evidence of Emotional Devaluation Across Romantic and Sexual Dimensions」では、アロマンティックやアセクシュアルの人々に対する社会的な評価が検討されました。

同研究では、恋愛や性的な関係を当然とする規範から離れた人々について、周囲が肯定的な感情を低く評価したり、社交性や成熟度を否定的に捉えたりする傾向が報告されています。これは当事者の実際の性格や能力を示すものではなく、社会側に存在する偏見を分析した結果です。

さらに2026年10月には、アセクシュアルやアロマンティックの人々の親密さを扱う研究「Expansive Intimacies」も『Journal of Sex Research』に掲載されました。69人の大学生・大学院生を対象とした質的研究で、親密さを恋愛や性行為だけに限定しない考え方を提示しています。

2026年の研究動向に共通するのは、恋愛や性的な惹かれの有無だけで人間関係の豊かさを判断しないという視点です。

アロマンティックに関する代表的な誤解

アロマンティックの認知が十分に広がっていないこともあり、誤解されやすいポイントがあります。

誤解1:アロマンティックは人を好きになれない

恋愛的な惹かれが少なくても、友情、家族愛、仲間への信頼、他者への思いやりなどを持つことはあります。恋愛感情と人間的な愛情は同じものではありません。

誤解2:アロマンティックは必ずアセクシュアルである

両者は別の指向です。アロマンティックでありながら性的な惹かれを経験する人もいます。

誤解3:アロマンティックは恋愛や結婚を絶対に望まない

恋愛的な惹かれがないことと、パートナーや結婚を望まないことは別です。恋愛関係や結婚を選ぶ人もいます。

誤解4:過去の恋愛経験があればアロマンティックではない

過去に恋愛感情を経験した人や、現在は恋愛的な惹かれが少ない人でも、アロマンティックを自認することがあります。グレイロマンティックなども含め、経験には幅があります。

誤解5:恋愛に興味がないのは精神的な問題である

アロマンティックは、それ自体が病気や障害を意味するものではありません。恋愛をしないことを、治療が必要な問題として扱うのは適切ではありません。

【プロの結論】理解すべきなのは恋愛感情の有無よりも、その人の意思

アロマンティックを理解するうえで重要なのは、恋愛感情があるかないかという二択に人を当てはめないことです。

恋愛的な惹かれがない人、まれに感じる人、特定の条件でのみ感じる人、恋愛関係を望む人、望まない人。それぞれの経験は異なり、どのあり方が正しいという基準もありません。

自己理解のために用語を知ることは有益ですが、ラベルを無理に決める必要はありません。また、他人の指向についても、交際歴や性的な経験、結婚の有無だけで判断するべきではありません。

本人がどのような関係を望み、どのような距離感を心地よいと感じているか。その意思を尊重することが、Aro/Aceを含む多様な人々と関係を築くための基本になります。

【アロマンティックとは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:アロマンティックとアセクシュアルは同じ意味ですか?
A1:違います。アロマンティックは恋愛的な惹かれ、アセクシュアルは性的な惹かれに関する指向です。両方に当てはまる人はAroAceと呼ばれますが、どちらか一方だけに当てはまる人もいます。

Q2:アロマンティックでも好きな人や恋人ができますか?
A2:可能です。友情や性的な惹かれを経験する人もいれば、恋愛関係を希望する人もいます。また、恋愛的な惹かれがまれに生じるグレイロマンティックなどもあります。交際経験があることだけでアロマンティックではないと判断することはできません。

Q3:アロマンティックかどうかを診断する方法はありますか?
A3:医学的な検査や確定診断はありません。オンラインのチェックリストは自己理解の参考になりますが、結果によって指向が決まるわけではありません。自分の恋愛的な惹かれ方や、人との関係についての希望を振り返り、自分に合う言葉を選ぶことが大切です。

まとめ:アロマンティックの多様性を知り、自分らしい関係を選ぶ

アロマンティックとは、他者への恋愛的な惹かれがない、または少ない恋愛的指向です。アセクシュアルとは異なる概念であり、性的欲求や性行動の有無、友情、恋愛、結婚の選択とは必ずしも連動しません。

グレイロマンティックやデミロマンティックなど、恋愛的な惹かれ方にはさまざまな形があります。アロマンティック・スペクトラムという考え方は、こうした違いを理解するための重要な手がかりです。

2026年の電通調査では、アロマンティックを自認する人の割合が1.58%と公表されました。一方、関連する用語の認知率は10.7%にとどまっており、言葉の普及と正しい理解の間には依然として差があります。

恋愛をすることも、しないことも、結婚することも、一人で暮らすことも、個人が選べる人生のあり方です。アロマンティックという言葉を知ることは、他者を理解するだけでなく、自分にとって心地よい人間関係や生き方を考えるきっかけにもなります。

主な根拠資料





(出典: ア ロマンティック と は(Yahoo!ニュース))